体外受精
卵巣刺激におけるリスク
体外受精で使用する注射薬剤は、注射部位に軽い痛みや発赤を伴うことがありますが、アレルギー反応を起こすことはほとんどありません。
卵巣刺激により過剰に卵巣が反応してしまうと、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)という状態になります。OHSSは、卵巣の腫れ、脱水症状、腹水、胸水、血栓塞栓症などの症状があります。体外受精での発生頻度は約5%です。発症しやすい方は、年齢の若い方、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の方です。
採卵におけるリスク
採卵を行う際に細長い針を使用して卵巣を穿刺するため、卵巣から出血する可能性があります。また、膀胱や子宮、腸管、血管が損傷する可能性もあります。その際は、出血が起こりえます。ごくまれに出血量が多い場合は、入院・輸血・開腹手術が必要となることがあります。 静脈麻酔を使用しても若干の不快感・疼痛を伴うことがあります。 麻酔の副作用として、呼吸抑制、血圧低下、アレルギー反応、ショック等を起こす可能性があります。
胚移植におけるリスク
胚移植を行うことによって、感染を起こす可能性があります。
妊娠におけるリスク
体外受精で妊娠することで、児の先天異常の発生率が増加するといった報告はありません。 長期予後を含めてまだ判明していないこともあります。 子宮外妊娠、多胎妊娠の可能性があります。
子宮卵管造影検査
子宮卵管造影検査は、造影剤を用いてレントゲン検査により、卵管の通過性と子宮の形を調べる検査です。子宮の中に細い管を挿入し、それを通して造影剤を注入してレントゲン撮影を行います。以下のような副作用が出ることがあります。
アレルギーのリスク
蕁麻疹、血圧低下、ショック症状等が起きることがあります。重篤な障害や生命の危機を生じることがまれにあります。
感染のリスク
細菌等の感染が骨盤内に起こることがあります。
疼痛のリスク
疼痛が強い場合は、検査を途中で中止することがあります。
人工授精
採取した精液を洗浄・濃縮した後、細いチューブを膣の方から子宮内に入れ精子を注入します。以下のような副作用が出ることがあります。
疼痛、出血のリスク
チューブを挿入し精子を注入することで、下腹部痛や出血が起きることがあります。ほとんどの場合は軽度ですぐに治まります。
感染のリスク
骨盤内に感染し、炎症が広がることがあります。人工授精後、感染予防のために抗生剤を内服していただきます。重症の場合は入院が必要となることがあります。
妊娠におけるリスク
流産、子宮外妊娠など自然妊娠と同様のリスクがあります。