今回は卵管に着目し、お話したいと思います。
卵管は子宮の両端から左右に伸びる長さ10cm、内径1mmほどの細い管です。その先端は卵管采といい、手を広げたような形をしています。
不妊症の原因として卵管に問題のある方は30-40%と言われています。
そのような不妊原因として大事な卵管の役割って、みなさん分かりますか?
役割① 卵子をキャッチ!!
排卵時期になると、卵管は卵巣の排卵する部位に近づき(まるで卵管そのものが生き物のようです)、野球のグローブでボールをキャッチするかのように、卵子をゲットします。
役割② 精子を受精の場である卵管膨大部へと導く!!
膣内から子宮、そして卵管内に泳いできた精子を、卵子の待つ卵管膨大部へと導き、卵子との出会いを助けます。
役割③ 卵子と精子の出会いの場を提供!!
卵管采にキャッチされた卵子と、卵子の待つ方向へ導かれてきた精子は、卵管膨大部で出会い、めでたく受精が成立します。
役割④ 受精卵を大事に育て子宮へ!!
卵管内液は受精卵の発育を助けながら、卵管内腔にある繊毛が動き、母なる子宮へと受精卵を運んでいきます。
このように卵管は今から起こる受精そして着床を知っているかのように、ひとつの生き物のように動き、その役割をしっかりと果たしているのです。
この役割のひとつでも欠けると、妊娠という奇蹟は成立しないのです。
それでは、妊娠における大事な役割を担っている卵管の機能を調べることはできるのでしょうか?
みなさんもよくご存じの子宮卵管造影検査(HSG)は、卵管の通過性(閉塞や狭窄)を調べる検査です。この検査で卵管の閉塞や狭窄が分かった場合は、卵管鏡下卵管形成術(FT)という治療を行い卵管の通過性を改善することもあります。しかしHSGでは、上記のような卵管の機能までは調べることはできません。
以前このブログ内でお話しした原因不明不妊には、このような検査では調べられない卵管の機能に問題があることも考えられます。卵管の機能に問題がなければ、タイミング療法、人工授精で妊娠する可能性がありますが、なかなか妊娠しない方には、時期を見計らって、体外受精の提案をすることになります。
つまり、体外受精は、卵管の代わりに、受精卵を育て、そして受精卵を子宮に戻すことができる治療なのです。
妊娠には、卵子も精子も、子宮もそして卵管も大事な役割を担っています。
妊娠に向けた一つひとつの過程が積み重なり、妊娠という奇蹟が生まれるということ、その奇蹟に卵管はとても重要な役割を果たしているのです。
妊活セミナーでは、このような妊娠の仕組みなどについても分かりやすくお話してまいります。
みなさまのご参加お待ちしております。
院長 園田桃代
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