~凍結融解胚移植とは~

あっという間に暖かくなり、初夏を感じさせる日もでてくるようになりましたね。
もう、マスクが暑くて暑くて・・・
これから梅雨になり、夏に突入するかと思うとゾッとしますが。

仕事中は医療用のサージカルマスクですが、仕事以外では、母の手作り布マスク(下の写真)をつけております。

今回は、現在、不妊治療の主流のひとつとなっている凍結融解胚移植についてお話したいと思います。

体外受精・顕微授精でできた受精卵(胚)を、胚移植する方法には以下の二つがあります。
・採卵周期と同じ周期にそのまま移植する新鮮胚移植
・凍結保存し、その後の別の周期で胚を融解して、移植する凍結融解胚移植

それでは、どのような場合に凍結融解胚移植を行うのでしょうか?

1.余剰胚凍結

不妊治療においては多胎妊娠におけるリスクを避けるために、1回の移植できる胚の数は原則1つです(35歳未満、良好胚盤胞の場合。年齢や治療回数によっては最大2つまで)。採卵周期で1つ新鮮胚移植を行い、残りの胚を凍結保存することを余剰胚凍結といいます。妊娠の可能性のある胚を凍結保存しておくことにより、1回目の胚移植でよい結果が出なかった場合や、また二人目、三人目の治療に使うことができます。

2.全胚凍結

採卵した周期に胚移植は行わず、全ての胚を一旦凍結保存し、以降の周期で融解し胚移植を行います。
採卵周期は排卵誘発剤の影響で、卵巣が腫れる状態(卵巣過剰刺激症候群:OHSS)になったり、子宮内膜やホルモン環境的に着床に向かない状態になったりすることがあります。そのような場合、胚移植には適さないと判断し、全胚凍結を行い、その後の子宮内環境を整えた着床に適した周期に胚移植を行います。


現在、凍結融解胚移植の技術は安全性を含め確立されたものであり、不妊治療において主流ともいえる治療のひとつです。当クリニックにおいても、新鮮胚移植よりも凍結融解胚移植のほうが件数も多くなっております。

胚凍結には、-196℃の液体窒素を用います。この状態で保存された胚は劣化することがないため、採卵から期間があいて胚移植をしても、妊娠率は落ちることはなく、十分な結果が出ます。

不妊治療は、年齢が大変大きく関係してくる治療です。年齢とはすなわち卵子の年齢になります。二人目、三人目を希望され来院された方で、一人目治療のときに採卵、凍結した胚を移植することで、あっという間に妊娠され卒業されていく方がとても多いのですが、そのことはやはり、いかに若い胚は妊娠力が高いかということを表している事実なのだと思います。

現在の社会状況から考えると、採卵後は胚を一旦凍結保存し、時期を見てから融解胚移植を行うということも不妊治療における大変良い選択の一つかと思われます。

先日、患者さんから、自然妊娠での妊婦さんと、不妊治療での妊婦さんとでは、コロナウィルス感染症に関して何か違いがあるのですか?という質問をいただきました。
何も変わりはありませんよ、同じ妊婦さんですとお答えしました。
また、この自粛ムードの中、受診することに後ろめたさを感じているのではと思われるような言葉をおっしゃられる方もおられます。
患者さんの、妊娠したいという気持ち、子供が早く欲しいという思いは、どのような状況であっても後ろめたいと感じる必要はありません。またそのような患者さんの思いに対して、しっかりと向きあい支えていこうという私たちの思いも何時も変わることはありません。
また、私たちスタッフ一人一人の感染予防も、また院内感染対策も行い、患者さんお一人お一人にもご協力をお願いしている状態で診療を行っており、皆さんに安心して受診していただけるよう、細心の注意を払っております。

急な休診や診療体制の変更を避けるためにも、引き続き、感染予防へのご協力をお願い致します。
当院の新型コロナ感染症予防と妊活サポートについて(2020年5月11日更新)

*診察室等含め、各部屋には飛沫感染を防ぐため、透明のシートを掛けております。

妊婦さんでも妊婦さんでなくても、
若い方でも、高齢者でも、
働いている方も、お家でいる方も、
みんな、手洗い、健康管理、3密の回避で感染予防対策は同じですもんね。

*凍結融解胚移植に関しては、体外受精セミナー動画においてもお話しております。
動画視聴希望者は、こちらのURLから申し込みをして下さい。
https://www.sonoda-art.com/seminar/video.html

                           院長 園田桃代

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