胚の凍結について

当院の凍結方法についてご紹介します。

当院ではガラス化保存法を用いて胚(受精卵)の凍結処理をしています。

胚を凍結液に入れ、凍結処理を施します。(写真左)

クライオテックと呼ばれるシートの上に胚を少量の凍結液とともに乗せ、液体窒素の中に入れて凍結します。(写真右)

基本的にはクライオテック1本につき1個の胚をのせて保存しますが、2個胚移植予定の方は1本のクライオテックに2個の胚をのせます。凍結した胚は液体窒素の中で何十年も全く状態を変化させないまま保存することが可能です。

不妊治療において、採卵で複数の卵が回収できると移植されなかった余剰胚は凍結しておいたり、身体の状態が移植に適さない場合は全て凍結しておく全胚凍結を行ったりと、胚の凍結はかかせない治療となっています。

しかし、凍結することによる胚へのダメージ等に不安を感じたり、少し抵抗を感じる方もいらっしゃるかと思います。

現在主流であるガラス化凍結法は胚へのダメージを最小限に抑えられること、融解後の生存率は90%以上と非常に高く、新鮮胚移植に比べて妊娠率も高く出ていることから凍結や融解が胚に与える影響はほとんどないと考えて頂いて大丈夫です。

(参照:公益社団法人日本産科婦人科学会「2022年体外受精・胚移植等の臨床実施成績」

凍結した胚は私たち胚培養士が責任をもって大切にお預かりいたしますので、安心して預けて頂ければと思います。