~PPOS 卵巣刺激法~

みなさん、こんにちは!
院長の園田桃代です。

8月も終盤となり、夏も終わりに近づいてきましたね。
今年の夏はいろいろなところでお祭りや、花火大会が開催されましたね。
みんな、とても嬉しそうで、楽しみにしていた様子を見ると、やっぱり日本の夏はこうでなくては!と思いました。

先日のブログでもお話しましたが、
先月、仙台で行われた受精着床学会に参加してきました

オンラインではなく現地開催で、とてもたくさんの医師、看護師、胚培養士など生殖医療に関わる医療従事者が参加していました。

昨年4月の保険適用後、どこのクリニックもさまざまな工夫や、新しい課題に直面しながら試行錯誤しており、一人でも多くの方が妊娠できるよう、誰しもが同じ目標に向かっていることが実感できる学会でした。
保険適用となり、デメリットになった側面もあるかもしれませんが、良い方向に動いたことはたくさんあります。
今できる最善のことを医療者は考えながら日々の診療にあたっておりますので、みなさんも共に前を向いて進んでいきましょうね。

今回は、PPOS(Progestin Primed Ovarian Stimulation)という卵巣刺激法についてお話したいと思います。

PPOSとは、
体外受精における卵巣刺激の際に黄体ホルモン(プロゲステロン)の内服薬を併用する方法です。
黄体ホルモンは卵胞から卵子が排卵した後に作られる黄体から分泌され、子宮内膜を着床する状態に変化させ、妊娠を維持するために必要なホルモンです。
また、黄体ホルモンは排卵抑制効果があるため、この効果を利用して、卵巣刺激法に併用していきます。黄体ホルモンを内服し排卵するのを抑えつつ、内服薬や注射薬で卵胞を育てていく方法です。

この方法のメリットは、antagonist法と比較すると…
① 黄体ホルモン内服薬はantagonist法で用いる注射薬よりも安価であること
② 注射が少ないこと
antagonist法の場合は、卵胞刺激のための注射薬と排卵抑制のための注射薬2種類が必要となるため、注射が苦手な方には負担が少なくなります。
③ 来院回数を少なくできる可能性があること
antagonist法はその使用開始時期、使用期間に注意しないといけないため、通院頻度が多くなることがあります。

デメリットとしては、
① 新鮮胚移植はできず、全胚凍結となること
② 全胚凍結となるため、胚移植がその後の周期となり妊娠までの期間が長くなる可能性があること

今回の学会でもPPOSに関する多くの演題が発表されており、現在のところ、胚の質や妊娠率は問題ないという意見が一般的です。

当院でも、以前はantagonistも多く行っておりましたが、最近はこのPPOSを行うことが増えてきており、大変有効な刺激法であると考えております。

採卵に向け、卵巣刺激の選択はとても重要です。
患者さん個々の卵巣状態、ホルモン状態を診て判断し、最善と思われる刺激法を選択しております。

不妊治療はさまざまなストレスや不安を感じる場面も多いと思います。
家族や友人と楽しい時間を持ったり、身体を動かしたり、いろいろとリフレッシュ、ストレス発散しながら、笑顔で毎日を過ごし、残り僅かな夏を楽しみましょう。

院長 園田桃代