【質問】「移植予定の胚盤胞が報告書の模式図と違うように見えます。なぜですか?」

こんにちは、培養室です。

当院では全例でタイムラプスを使って受精卵を培養しています。
タイムラプスから得られる受精卵の情報は非常に多く、様々な情報をデータ化し、妊娠率向上に向けて、日々解析しています。

>>機器紹介~タイムラプスインキュベーター~

以前のブログで、受精卵の成長過程における現象についてご紹介しましたが、今回は「胚盤胞の収縮」についてご紹介したいと思います。

>>今日も変わらず皆様の 大切なたまごの成長を見守っています

まずは下の動画をご覧ください。

胚盤胞の収縮

受精卵ははじめ透明帯という“卵の殻”で守られています。受精卵が胚盤胞へと成長すると、胚盤胞は“卵の殻”を破り、外に出てきます。完全に外に出てきた胚盤胞が子宮内膜に着床することで妊娠成立となります。

胚盤胞は“卵の殻”を破るために拡張していくことで“卵の殻”を押し広げて破ろうとします。“卵の殻”を破れば、その勢いで完全に外に脱出してくることもありますが、なかには胚盤胞が自身の拡張に耐え切れず、“卵の殻”よりも先に“破綻”することがあります。これが「胚盤胞の収縮」です。収縮した胚盤胞は時間経過とともに再拡張していき、再び“卵の殻”からの脱出を試みます。

胚盤胞の再拡張

凍結融解胚移植のときの移植胚の説明時に、移植予定の胚盤胞が収縮していて、報告書の模式図と違うとお気付きなることがあるかもしれません。

これは凍結胚を融解するときに生存率を高めるため、人為的に収縮させて凍結しているためであり、これも時間経過とともに再拡張してきますので、どうぞご安心ください。

今後も疑問に思ったことはどんな些細なことでも構いませんので、お気軽にお尋ねください。