「着床の窓」とは?
子宮内膜には受精卵を受け入れるために最適な期間があり、この期間のことを「着床の窓」と呼びます。
一般的に着床の窓は排卵日から5日前後、ホルモン補充周期ではプロゲステロン投与から5日前後と想定されていますが、早い、遅い、長い、短いなどの個人差があり、もし着床の窓をずれて子宮内膜に受精卵が接着した場合には、妊娠不成立か初期の流産となってしまう可能性が指摘されています。
例えば、原因不明の反復着床不全(体外受精において良好な受精卵を複数回移植しても妊娠成立しない場合)では、約1/4に着床の窓のずれが報告されています。
着床の窓は調べることができるのか?
ERA(子宮内膜着床能)検査で調べることが出来ます。
子宮内膜に特異的な遺伝子を調べることで最適な「着床の窓」がわかります。
体重が大きく変わらなければ検査結果は3~4年間有効です。
ERA検査の対象となる方
当院では、体外受精において良好な胚盤胞を2回以上移植しても妊娠成立しない方、または初期の流産を繰り返す方を対象としています。
ERA検査の方法
移植日に相当する時期に子宮内膜の細胞を採取します。
採取した細胞から248個の遺伝子を調べ、着床可能な時期なのか着床に適さない時期なのか調べます。
検査の結果が出るまでに2~3週間程かかります。
検査の結果、着床可能な時期と判断された場合は、着床の窓のずれはないとし、従来の方法で移植を行います。
もし着床不適(早いまたは遅い)と判断された場合は、ERA検査の結果に基づいて着床可能な時期にあたるように移植を行います。
検査の結果によっては再検査、再々検査となる場合もあります。
当院でERA検査された方の結果の割合
約半数の方が着床の窓がずれていましたが、ERA検査の結果に基づいて着床可能な時期にあたるように移植を行ったところ、55.6%の方が妊娠に至りました!
ERA検査によって妊娠の可能性が大幅に向上したことが分かります。
今年の4月から不妊治療の保険適用が拡大され、ERA検査は先進医療(自費)として認定されました。
ERA検査の費用は137,500円と高額ですが、移植を繰り返したり採卵を再度行うことを考えれば貴重な時間の有効活用、心と身体への負担の軽減に繋がる可能性があります。
良好な受精卵を移植しても中々着床しないと悩まれている方は、選択肢の一つとしてなるべく早期段階での検査をお勧めします。
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