こんにちは、培養室です。
当院の胚培養士は、普段から患者さまとお話しさせていただく機会を設けています。
その理由は、自分たちの大切な卵子や精子を実際に扱う人がどのような人なのか、ということを知っていただき、安心・信頼していただきたいと同時に、生殖細胞を扱う専門家として、患者さまに正しい情報を伝えるためでもあります。
しかし、実際の現場では本当に正しい情報を伝えられているのか、と疑問に思うことがあります。
たとえば、「体外受精をしたら妊娠率はどのくらいですか」という質問を頂くことがよくあります。
この時我々はよく、日本産科婦人科学会が毎年公表している全国の体外受精の成績や当院の成績をお示しして、「○○さんは○○歳なので、妊娠率は○○%、生産率は○○%です」とお答えしているのですが、なにかモヤモヤしています。
間違ってはいないのですが、新鮮胚移植なのか凍結融解胚移植なのかでも違いますし、初期胚移植なのか胚盤胞移植なのか、1個移植なのか2個移植なのか、過去に妊娠した経験があるのかないのか、移植は何回目なのかなどなど、患者一人一人の背景は全く異なります。
そうした一人一人の背景を考慮して、妊娠率をシミュレーションできたらなあ、と常々考えていたら面白いサイトを見つけました。
https://w3.abdn.ac.uk/clsm/opis
これはイギリスのアバディーン大学が開発した体外受精をした場合の妊娠率が予測できるシミュレーションサイトです。
早速シミュレーションしてみました。
「Go」ボタンをクリックしてシミュレーション開始!
もし自分が体外受精を受けた場合の予測される妊娠率をシミュレーションする場合は「OPIS Pre IVF」を、体外受精を受けて移植した場合の妊娠率をシミュレーションする場合は「OPIS Post IVF」を選択します。
今回は「OPIS Post IVF」を選択しました。
患者さまの中には4月から始まる体外受精の保険適用を待っている方もいらっしゃるかと思います。その場合は「OPIS Pre IVF」を選択ください。
次に設問に回答します。以下のように回答しました。
「あなたの年齢は?」「37歳」
「不妊期間は?」「2年」
「最初の体外受精周期に何個採卵できましたか?」「5個」
「最初の胚移植にどのステージの胚を何個移植しましたか?」「5日目または6日目の胚を1個」
「妊娠したことがありますか?」「No」
「卵管に問題がありますか?」「No」
「最初の周期はIVF(一般体外受精)ですか、ICSI(顕微授精)ですか?」「ICSI」
「最初の周期で受精卵を凍結しましたか?」「Yes」
最後に「Calculate Results」をクリック。
出ました。
この結果によると、1周期で赤ちゃんが得られる確率は46.88%だそうです。
なかなか興味深いサイトだと思いますので、ご興味があれば一度シミュレーションしてみてください。
ただし、当院の成績とは全く関係ございません。
このような妊娠率のシミュレーションを作るのはなかなか難しそうではありますが、今後も患者さまが納得して治療していただくために、分かりやすい資料作りをしていきたいと考えています。
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