みなさん、こんにちは!
院長の園田です。
春を満喫する間もなく、
梅雨に突入してしまいましたね。
四季のある美しい日本。
一日も早く、それぞれの四季を心穏やかに過ごしていける世の中になってほしいものです。
コロナウィルスとの闘いも長丁場になってきて、
皆さん本当に辟易していることと思います。
そのような状況の中、
一生懸命、前向きに治療を頑張っている患者さんの姿に、
私たちスタッフは大きな力をもらっております。
この現状を打破する第一歩が、
やはりワクチンということになるかと思います。
私も先週2回目のコロナワクチン接種を終えました。
スタッフも全員1回目の接種は既に終了し、
続々と2回目の接種が終わりつつあります。
ワクチン後の身体の状況がどうか、ということも皆さん気になることと思います。
私は接種側の腕の痛み(ひどい筋肉痛程度)はありました。
2回目の接種後は、身体がだるい感じはありましたが、発熱はなく、寝込むまではありませんでした。
腕の痛みは、多くのスタッフでありました。
発熱はやはり年齢の若いスタッフに多い傾向がありましたが、たいていは接種後2日間程度で治まっております。
ワクチンは、変異ウィルスにも効果があると言われています。
接種による副反応もありますが、
妊婦のコロナ感染は重症化しやすいという報告もあることより、
やはりワクチン接種はデメリットよりもメリットの方が高いと言えるのではないでしょうか。
今回のコロナワクチン、
優先接種対象者から妊婦が外されました。
しかし、
接種を禁止するものではなく、
有用性を判断したうえでの接種という位置づけになっております。
ワクチンだけではなく、
ほとんどの薬も、いわゆる有益性投与というものになっています。
先日、日本産科婦人科学会から、
“COVID-19 ワクチン接種を考慮する妊婦さんならびに妊娠を希望する⽅へ(第2版)“という声明が発表されました。
以下に一部を抜粋し、
少し説明を加えていきたいと思います。
COVID-19 ワクチンは、現時点で妊婦に対して短期的安全性を⽰す情報が出つつあるが、中・⻑期的な副反応や胎児および出⽣児への安全性に関しては今後の情報収集が必要である。現時点では世界的に接種のメリットがリスクを上回ると考えられる。
COVID-19 ワクチン接種を考慮する妊婦さんならびに妊娠を希望する⽅へ(第 2 版)より
ここで一つ、
妊婦に対するコロナワクチンに関する論文をご紹介したいと思います。
Preliminary Findings of mRNA Covid-19 Vaccine Safety in Pregnant Persons
Tom T.Shimabukuro,M.D. , Shin Y.Kim,M.P.H. et al
The New England Journal of Medicine May 10,2021
この論文で対象となったのは、
2020年12月14日~2021年2月28日までの間に、
アメリカにおけるV-Safe After Vaccination Health Checker、 V-Safe Pregnancy Registry、 Vaccine Adverse Event Reporting System(VAERS) というシステムに登録された、
妊娠中(30887人)、またはワクチン接種後に妊娠が判明した方(4804人)計35691人です。
副反応について
注射部位の痛み、頭痛、筋肉痛、悪寒、発熱:妊婦と非妊婦で変わらない
データ収集できた3958人の妊婦のワクチン接種時期について
・妊娠判明前(最終月経~30日以内):92人(2.3%)
・妊娠14週未満:1132人(28.6%)
・妊娠14~28週:1714人(43.3%)
・妊娠28週以降:1019人(25.7%)
*なお、この3958人中3719人(94.0%)が医療従事者でした。
このうち、何らかの形で妊娠が完結した827人について、
妊娠の転帰
・出産 712人(86.1%)
・流産(妊娠20週未満) 104人(12.6%)
※一般的な流産率 10-26%
・死産(妊娠20週以上) 1人(0.1%)
新生児の転帰
・早産児 60人(9.4%)
※一般的な確率 8-15%
・先天性奇形 16人(2.2%)
※一般的な確率 3%
*この16人の中で、妊娠判明前および妊娠14週未満でのワクチン接種者はなし
・新生児死亡:なし
日本では、
まだこのような妊婦におけるコロナワクチンの報告はありません。
この報告では、
流産や先天性奇形の発生率は一般的な数値と比較して変わりはありませんが、
どのように捉えるかは個々の判断になるかと思います。
私としては、以前にもお話したように、
ワクチンの効果が出て、妊活、出産が心配なくできる社会への復活を心から願う考えに変わりはありません。
2. 流⾏拡⼤の現状を踏まえて、妊婦をワクチン接種対象から除外しない。特に⼈⼝当たりの感染者が多い地域では積極的な接種を考慮する。接種する場合には、産婦⼈科医は 被接種者に、⻑期的な副反応は不明で、胎児および出⽣児への安全性は確⽴していないことを事前に⼗分に説明する。同意を得た上で接種し、その後 30 分は院内で経過観察 する。現時点でmRNA ワクチンには催奇性や胎児胎盤障害を起こすという報告は無いが、器官形成期(妊娠 12 週まで)は、偶発的な胎児異常の発⽣との識別に関する混乱を招く恐れがあるため、ワクチン接種を避ける。
COVID-19 ワクチン接種を考慮する妊婦さんならびに妊娠を希望する⽅へ(第 2 版)より
妊娠12週までの期間は接種を避けることが推奨されております。
先ほどの論文においては、妊娠初期にワクチン接種されている方のデータも含まれております。
3. 妊婦さんならびに妊娠を希望する⽅で、感染リスクが⾼い医療従事者、保健介護従事者、 重症化リスクが⾼い肥満や糖尿病など基礎疾患を合併している場合は、ワクチン接種を積極的に考慮する。
4. 妊婦のパートナーは、家庭内での感染を防ぐために、ワクチン接種を考慮する。
COVID-19 ワクチン接種を考慮する妊婦さんならびに妊娠を希望する⽅へ(第 2 版)より
旦那さん、同居家族の方は妊婦さんの感染を極力避けるために、ぜひ接種をしていただきたいと思います。
みんなで、妊活中の女性、妊婦さんをリスクから守ってください。
5. 妊娠を希望される⼥性は、可能であれば妊娠する前に接種を受けるようにする。(⽣ワクチンではないので、接種後⻑期の避妊は必要ない。)
COVID-19 ワクチン接種を考慮する妊婦さんならびに妊娠を希望する⽅へ(第 2 版)より
妊活中の方は、接種を迷われることと思います。
先ほどの論文には、
妊娠判明前(月経開始から30日以内)に接種されている方も含まれているということも参考にしてください。
繰り返しになりますが、
ワクチンにより、少しでも安心して妊活できる社会への復活を心から願います。
また、米国生殖医学会からの声明には、
私たち生殖医療従事者および妊活中の方、妊婦さんにとっても、
大変、心強く、胸打たれる内容が記載されています。
日本生殖医学会ホームページ
『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する日本生殖医学会からの通知~海外の動向について~(2021年5月12日版)』
で内容を見ることができますので、ぜひご一読ください。
最後に、スタッフ、また患者さんのワクチン接種が進んでも、
当院の感染対策は変わることなく継続してまいりますので、ご協力よろしくお願いいたします。
院長 園田桃代
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