~採卵にまつわる不安ごと~

みなさん、こんにちは!

院長の園田です。

いよいよ春らしくなり、
桜の季節になりましたね。

1年前の春は何をしていたのだろう、
何が楽しかっただろうと思い返してみますが、

残念ながら、
気分が高揚するような
出来事はあまり思い出せません。

一年前の胸の中に
ドカンと居座っていた
得体の知れない不安感というものは、
だいぶん小さくなった気がしますが…

先日、知人が言っていた言葉に
ハッとさせられました。

“こんなことは歴史上で考えても
滅多にあることではない。
こんな時代を生きられたと発想を転換し、
毎日、自分ができることを頑張る” と。

いつか、
あの時期はいろいろと厄介だったねー
と、笑って振り返ることができる日が来ます。

みなさん、桜のように、
太陽のひかり溢れる空に向かい、
明るく毎日を過ごしましょうね。

今回のブログは、
採卵にまつわる不安ごとについてお話しますね。

体外受精を受けられている方で、
採卵の前や後にも、よく聞かれる質問です。

 どのくらい卵は採れそうですか?

 卵を増やす方法は?

 刺激方法を変えると卵は増えますか?

なかなか難しい質問です。

実際の治療に入る前に、
以前にブログでもお話させていただいている
AMH(抗ミュラー管ホルモン)の値で、

どの刺激方法で選択するか、
どのくらい卵が採れそうかは、
ある程度の予想はつきますが、

これがなかなかその通りにはいきません。

実際に体外受精のスケジュールに入ってから、
いろいろなホルモン値やエコーでの所見から、

最終的な薬の選択、
注射の量などを決めていきます。

以前、
ブログ ”妊娠するために必要な卵子の数“で、

AMHと採卵数の関係と、
妊娠するためには15-20ヶの卵子が必要、
という論文をご紹介したと思います。

それだけの数を
一度の採卵で獲得できたら理想的ですが…

しかし、
それだけの数を獲得しようとすると
複数回の採卵が必要になる方が
ほとんどかと思われます。

また、採卵できる卵子の数は、
年齢が大きく関係します。

当院でのデータでも、
年齢が大きくなるにつれ、
採卵数は減る傾向にあります。

これは年齢による卵巣の変化であり、

残念ながら
卵巣が若返ることはありませんので、

目標とする採卵数は
個々の年齢も考慮した上で
考えていく必要があります。

当院では、自然周期ではなく、
内服薬や注射薬を用いた卵巣刺激を行い、
複数個の採卵を目指すことを基本としています。

なるべく多く採卵し、
胚移植できるチャンスを
少しでも多くと考えております。

ただし、
卵巣の反応には個人差が大きいため、
他の方と比較することはできません。

友達が〇ヶ採卵できたとか、
たくさん採れたというネット記事を見たとか、

どうしても耳に入る、目にすると
気になってしまうと思いますが、

一人ひとり顔が違うように、
卵巣も一人ひとり異なるということを知っておいて、

いろいろな情報に振り回されないよう、
安定した気持ちで治療をしてほしいと思います。

また、周期により卵巣の反応性は
異なることも多く見られます。

反応する卵胞は
周期によって既に決まっていますので、
注射の量を際限なく増やしても、
効果はなく意味はありません。

適切な量を投与し、
可能な最大限採れる卵子を獲得していく、
これを目指していくことが大事なのです。

毎回、採卵周期毎に
スタート時の薬や注射を決める前に、
採血でホルモン値を見て、
エコーで卵巣の状態を確認しております。

月経中にエコーというのはイヤだな、
と思われることと思いますが、

月経中の卵巣の状態を見るということを、
私は大変重要視しております。

このとき、私はエコーで見える
胞状卵胞数(AFC:antral follicle count)
を数えております。

AFCとは、
発育の可能性のある卵子ということです。

その数により、
内服薬を追加したり、
注射薬の投与量、日数を調整したりと、

適した量で最大限の卵子が獲得できるよう
最終的な刺激方法を決定しています。

AMHは周期ごとに変動がある
という報告もあります。

AMHから予想されるAFCと
実際の採卵周期のAFCが
乖離していることもよくありますので、

周期毎の卵巣の状態を見極め、
刺激方法を決めていく、

一つ一つの採卵周期を
大事にしていく上で、
とても重要なことと考えております。

卵巣にも一人ひとり個性があります。

今の卵巣の状態で、
できる限りの可能性を引き出すこと、

医療側、患者さん側、双方の力を合わせて、
ともに明るく前に進みましょう!!

院長 園田桃代