こんにちは!院長の園田です。
新しい年となり、1ヶ月ですね。
冬らしく寒い日もあれば、季節が変わったかのように暖かい日もあり、服装の調整に困ることもあるかと思います。
私も時々、朝起きたときには寒くてダウンを着て出掛けたけど、じっとりと首元に汗をかき、失敗した~と思うことも何度かありました。
この時期、体調を少しでも崩すわけにはいきませんので、服装ひとつにもとても気を使います。
また、足元はほぼスニーカーで、ヒールを履くことは全くなくなりました。
ワンピースを着て、ヒールを履いて出かけることなんて皆無となりましたが、また活躍してくれることもあると信じ、時々、クローゼットの換気もしております!
みなさんも、必ず来る自由に外へ繰り出せる完全復活の日を目指し、広い世界に目を向ける気持ちを収束させることのないよう、しっかり温めておきましょうね。
今回のブログでは、生殖補助医療=ART(Assisted Reproductive Technology)について、お話したいと思います。
当クリニック名にも付いているART、今ではIVF、ICSIという言葉も周知されつつあり、
昨今のニュースでもARTについては、助成金の見直しや保険適応等のこともあり、取り上げられることも多くなりましたね。
当院の体外受精セミナーでお話を聞いていただいた方は、ARTの流れ、種類、さまざまな手技があることをご存じかと思いますが…
それでは、ARTについて順を追ってお話していきますね。
1.卵巣刺激 ~卵胞を育てていこう~
使用する薬はさまざまで、内服薬としては、皆さんもよく聞いたことのあるクロミッド、最近ではフェマーラという薬もよく使われるようになってきました。
注射薬は、自己注射用のペンタイプのもの、ホルモン組成が100%FSHのもの、ある一定のLHも含まれているものなど。
また、注射の仕方も、毎日打つ場合、1日おきに打つ場合、その量も150単位や300単位など、本当にさまざまな使い方があります。
どの薬剤を用いるか、どの程度使用するかは個々の患者さんの卵巣の状態やホルモン値により、決定していきます。
2.採卵 ~卵子を採ろう~
卵胞が大きく育ち、ホルモンも良好な値が確認できたら、いよいよ採卵です。
採卵の前々日には、絶対に忘れてはいけない大事な大事な点鼻薬を使っていただき、卵胞の最後の成熟を促します。
採卵は、エコーで腹腔内を観察しながら、卵巣に向けて膣から針を穿刺し、ひとつひとつ卵子を回収していきます。
針は極力細いものを使用し、少しでも痛みが軽減できるようにしております。
採卵にかかる時間には個人差があります。
卵胞の数、卵巣に位置により異なりますが、早ければほんの数秒、また数分~15分程度かかる方もいらっしゃいます。
採れた卵子は、その後、胚培養士という卵子、精子のスペシャリストたちの手に委ねられます。
3.受精 ~卵子と精子の出会い~
胚培養士に委ねられた卵子は、その日のうちに受精という段階に入ります。
受精のさせ方には、二通り、一般体外受精と顕微授精があり、精子の状態によりどちらを選ぶかは変わってきます。
翌日に受精したか、正常の受精であるかの確認を行い、受精卵は再び培養器の中に戻ります。
その後、培養を続け、次の段階へ入ります。
当クリニックの培養器にはタイムラプスインキュベーターという受精卵に対する負担が少なく、発育状況を詳細に知ることのできる培養器が導入されております。
4. 胚移植 ~いよいよ子宮へ~
良好な発育を確認できた受精卵をいよいよ子宮の中へ戻していきます。胚移植です。
大事な受精卵を戻すこの瞬間は、患者さんはもちろんのことと思いますが、私も培養士もとても緊張する場面です。
また緊張と同時にワクワクするような高揚感を感じる瞬間でもあります。
患者さん、スタッフみんなで大事に育てた受精卵がモニターに映し出されると、頑張れというみんなの思いと共に子宮内へ送り出します。
受精卵を見た時の患者さんの笑顔が更に後押しをします。
また、胚移植はお腹からのエコーではなく、いつも診察で行う膣からのエコー(経膣エコー)を用い行います。
経膣エコー下に胚移植を行うことにより、より繊細な移植が可能となります。
5. 凍結 ~受精卵を凍結して保存~
最近は採卵を行った同周期に行う新鮮胚移植よりも一旦、受精卵を凍結し、よりよい着床環境を作った上で子宮に戻す凍結融解胚移植の方が多く行われています。
ホルモン剤で子宮内膜を調整することで、受精卵が着床できる期間が通常よりも長くなり、着床率が上がることが期待されます。
参考:*当院HP 胚移植のページへ
*桃クリブログ 『~凍結融解胚移植とは~』
このような過程を経て、ARTは進んでいきます。
文章を読んだだけでは、なかなかイメージが湧きにくいと思います。
まずは、体外受精セミナーでARTの知識を入れていただくことが、今後の治療を進める上で、皆さんの不安を軽減してくれるのではと思います。
今や不妊治療において、ARTは決して特別な治療ではありません。
妊娠に向けて、医療の力で一人一人の妊娠する力を引き出していくということで、その後の妊娠、出産、子供を育てていくという過程は何も変わりはありません。
最後に、
コロナワクチンについてです。
いろいろとその日程、接種方法等、未定の部分もあるようですが…
私にとっては、やっとワクチンがうてる!と本当に首を長~くして待ち望んでいたワクチンです。
当クリニックでもスタッフともども接種する予定です。
患者さんから、妊婦さんや不妊治療中の方に対する接種はどうなのかということを聞かれることも出てきました。
私は、このワクチンに関してはメリットの方が大きいというふうに考えております。
残念ながら、ワクチンだけではなく、どのような医療においても100%安全というものはありません。
メリットよりもデメリットの方が大きいものは医療と言えませんので、最終的には個々の判断にはなると思いますが、私としては、ワクチンの効果が出て、妊活、出産が心配なくできる社会への復活を心から願います。
先日、⽇本産科婦⼈科学会・日本産科婦人科感染症学会より、妊婦さんや妊娠を希望されている方へ、ワクチンに関するお知らせが公開されましたので、是非参考にしてください。
院長 園田桃代