当院では一般治療(タイミング療法)をご希望される方に、フーナーテストを実施しています。今日はそのフーナーテストについてお話したいと思います。
フーナーテストとは?
Huhnerが1913年に実用化した不妊検査法で、性交後検査(PCT)とも呼ばれています。医師より指定された日(排卵日頃)に性交渉をとってもらいます。性交後12時間以内に子宮頸管粘液を採取して、その粘液中の精子の数や動いている精子を調べる検査です。
子宮頚管粘液とは?
まず子宮頚管は子宮の入り口にあり、膣と子宮を繋ぐ細い管です。月経周期により粘液は変化し、排卵前になると頸管粘液の量が増し、透明でさらさらした状態となります。また牽糸性(けんしせい)と言って子宮頚管粘液が糸を引くように伸び、精子の通過を助け妊娠しやすい状態へと変化します。排卵前には頸管粘液は10㎝以上伸びます。
なぜフーナーテストはタイミング療法の方が対象なのか?
まずは妊娠のメカニズムからお伝えします。
➀月経周期に合わせて卵巣内で卵胞が育ち、卵胞から卵子が飛び出し排卵します。
②卵巣内から飛び出した卵子を卵管の先にある卵管采がキャッチします。
③性交により射精された精子は膣から子宮頚管、子宮へと進み、さらに奥にある卵管を目指しますが、卵管までたどりつける精子はほんの一部です。
④卵管の先にある卵管膨大部で最も元気のよい1個の精子のみが卵子の中に入り受精し、受精卵となります。
⑤受精卵が卵管内で2分割、4分割・・と分裂を繰り返しながら転がり子宮に向かい移動します。
⑥子宮に到達した受精卵が子宮内膜にもぐり込み着床します。
タイミング治療では射精された精子が子宮頚管を通り、子宮内に自力で進入していく必要があります。フーナーテストは膣内に射精された運動良好な精子の頸管粘液への進入を確かめることで、頸管粘液と適合して子宮内に進入できるか確認することができるのです。そのためタイミング治療が対象となっています。
当院のフーナーテストの当日の流れ
受付
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内診
何時ごろに性交渉をとったか口頭で確認します。内診台へ上がり、膣鏡を入れ子宮頸部を確認します。注射器(針無し)で頸管粘液を採取しスライドガラスへ載せます。この際に頸管粘液の伸びも確認します。
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一旦患者様は待合室へ。培養士が顕微鏡下で精子数や運動性を観察します。結果は10分ほどで出ます。
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診察室で結果説明します。
※結果
当院では動いている精子の数で評価します。
5匹以上であれば +
1-4匹であれば ±
0匹であれば - となります。
当日の結果が不良であった場合考えられることは?
➀頸管粘液の状態や、精液や精子の状態の問題など様々な理由があると考えられる為、再度フーナーテストを行うことがあります。
②抗精子抗体によるもの
頸管粘液内の精子が動いていない場合は、抗精子抗体により精子を異物と認識し精子の動きを妨げてしまっている可能性があります。抗体の数値によってステップアップが必要となる可能性があります。採血により検査が可能です。
今後の治療は・・
フーナーテストの結果が良好な場合
・他に問題がない場合はタイミング治療を行います。
フーナーテストの結果が不良な場合
・抗精子抗体陰性で他に問題がない場合は人工授精を行います。
・抗精子抗体陽性であれば抗体の数値によって、人工授精もしくは体外受精(顕微授精)の検討となります。
不妊治療を進めていくためには様々な検査があり、聞き慣れない検査に不安が出てくるかと思います。患者様が納得して治療を進めるように全力でサポートしていきますので、いつでも気軽にご相談下さいね。