第69回日本生殖医学会へ参加してきました

皆さんこんにちは。培養士の山本です。

先週11月14日(木)・15日(金)の2日間にわたり名古屋にて第69回日本生殖医学会学術講演会総会が実施され、当院からは院長含め5名が参加致しました。

生殖医学会は不妊治療業界の中でも非常に大きな学会ですので、今回もたくさんの方が参加され、盛況のうちに終了いたしました。

当院からも医師・看護師・培養士から演題を各1題ずつ、計3題を発表しております。当院の過去の学会発表に関してはトップメニューのインフォメーションからご覧いただけます。是非ご覧ください。

今回の学会でも多くの有用な話を聞くことが出来ましたが、その中でも昨今の培養業界のトレンドである「胚融解の時間短縮」に関してのデータを拝聴することが出来ました。

胚の融解には今までは3つのステップが必要でしたが、それを1ステップで融かせる方法、というのが上記の昨今業界内で徐々に浸透している新しい方法です。

もし胚融解時間が短縮が出来れば、培養士の手間がかからなくなるだけでなく、胚のインキュベーター外での操作時間短縮による好影響や、融解液の暴露時間の短縮による胚ストレスの軽減などのメリットも考えられます。

一方で、今回のこの話題に限らず新しい方法には必ずと言っていいほどメリットとデメリットがあります。今回の学会では時間短縮により胚の孵化率が下がる可能性が示唆されており、個人的に新しい知見でした。融解後の胚の様子をタイムラプス動画で見ていても、本当に悪影響がない方法なのか、幾分今後のデータの蓄積が必要であるとも感じました。

学会ではその他様々な発表がありましたが、実のところ学会で発表されていたものをすぐに導入するのは危険を伴います。上記の新方法含め、今回学会で得た知見を培養部内でじっくり勘案し、信用あるデータの裏付けとともに今後活かしていきたいと思います。