こんにちは、培養室です。
突然ですが皆さんは、なにか漢方やサプリメントを摂取されていますか？
不妊治療において、自身の健康状態を底上げすることはとても重要です。日々の生活習慣の改善はもちろんのこと、それをサポートするものとして、当院ではいくつか漢方やサプリメントをお勧めしています。
過去のブログでも少しご紹介していますが、今回は抗酸化サプリメントについてお話したいと思います。
抗酸化サプリメント摂取の主な目的は、私たちの身体に備わる酸化ストレスへの抵抗作用(抗酸化作用)を手助けすることです。
当院では、主に男性不妊患者さんに向けてお勧めしています。（もちろん、女性にも問題なくお摂りいただけます。）
その理由として、酸化ストレスが精子の状態に大きく影響するということが挙げられます。
酸化ストレスの要因は様々ですが、主として不健康な食事、睡眠・運動不足、喫煙、過度な飲酒など、いわゆる“身体に良くないこと”を続けることで、体内の活性酸素が過剰に産生され引き起こされます。また、加齢や肥満といった身体の状態にも左右されます。
精子がこの酸化ストレスを受けることで、運動性の低下やDNA損傷が起こり、妊娠率の低下や流産率の上昇につながると言われています。
私たちの身体には元来抗酸化作用が備わっていますが、そのはたらきの中心である抗酸化酵素・抗酸化物質は年齢とともに低下すると言われています。
そこで、サプリメントなどから抗酸化物質を効率的に摂取することがお勧めされます。
抗酸化サプリメントは様々なメーカーから発売されており、よく見かける成分としてコエンザイムQ10(以下CoQ10)が挙げられます。CoQ10は、肉類や魚介類、ナッツ類などの食品に含まれている脂溶性の物質で、抗酸化作用やエネルギー代謝に関して有用であると言われています。CoQ10には酸化型と還元型があり、体内で働くのは還元型で、酸化型は体内で変換されて使われます。この変換率は年齢や体質によっては低くなることがあるため、摂取する際は還元型を選ばれるとより効率的です。
過去には抗酸化サプリメント摂取によって精子DNA断片化率(DNAへのダメージ)が改善されたという報告もあります。
摂取による効果には個人差がありますが、特に精液検査の結果が芳しくなかった方は、一度試していただいても良いのではないでしょうか。
継続期間については、精子が作られるのには約３か月かかるとされていますので、一つの目安にしていただくと良いかもしれません。
当院では漢方やサプリメントに限らず、栄養カウンセリングなど、食習慣の改善に役立つ情報もご提供できますので、気になられた方は遠慮なくお尋ねいただければと思います。
