CD138(慢性子宮内膜炎)の検査について

こんにちは、本格的な夏に突入し、毎日うだるような暑さが続いていますね。
みなさんも夏ならではの楽しみを満喫しながら、熱中症や感染症などには十分気をつけて今年の夏を乗り切ってくださいね。
さて今回はCD138検査についてお話したいと思います。

慢性子宮内膜炎とは

細菌感染などにより子宮内膜に長期間炎症が持続している状態です。月経が起こっても自然に治ることはなく、自覚症状がないことがほとんどです。子宮内膜に形質細胞といわれるリンパ球に似た細胞の浸潤を認めることが特徴的で、妊娠との関連では着床不全や反復流産の原因の一つになると言われています。

CD138検査とは

慢性子宮内膜炎の有無を調べる検査です。
子宮内膜の組織を採取し、CD138免疫染色を行い、CD138陽性細胞の数を調べ、複数存在することが確認できれば慢性子宮内膜炎と診断されます。
当院では、体外受精で良好胚を数回胚移植しても着床や妊娠に至っていない方に検査をご提案させていただいています。

検査方法について…
検査周期は避妊が必要です。
月経の出血が終了し、子宮内膜が厚くなった時期に、検査用の器具を使用し子宮内膜の組織を吸引して検体を採取します。検査の時は少し痛みを伴いますが数分で終了します。検査結果は約2週間後に報告させていただきます。
治療について…
慢性子宮内膜炎(CD138陽性)と診断されれば、抗生剤の内服が2週間必要になります。
その後、期間を空けて再検査を行います。
再検査の結果再度CD138陽性となった場合は、別の種類の抗生剤を2週間内服していただきます。
慢性子宮内膜炎の治療が必要になった場合は、治療後、胚移植ができるまで約3~4カ月の期間を要する場合があります。

当院で2018年~2023年までに実施された検査結果内訳について(検査実施者111名)

70%の方が慢性子宮内膜炎と診断されなかった一方で、慢性子宮内膜炎と診断された方は28%でした。慢性子宮内膜炎の治療後、胚移植を行い、34%(プロバイオテクス療法併用含む)の方が妊娠しました。

着床不全の原因はいまだ分かっていないこともありますが、このCD138検査は、着床環境を確認できる検査のうちの一つであると考えます。
検査のご提案をさせていただいた際には、ぜひ検討していただければと思います。