~プレコンセプションケアとしてのプレチェック外来~

みなさん、こんにちは!院長の園田桃代です。

毎日暑い暑い暑い!でぐったりしますが、上手に体調管理をしながら、夏を乗り切り、更に満喫できるといいですね。

先日、東京に行く機会があり、今の秋葉原ってどんな感じなんだろうと思い(何年振りか思い出せないぐらいですが)行ってきました。日本人はもちろん、海外の方も含めたくさんの人、人、人!そしてみんな嬉しそうにグッズやお土産を持ち、とても満足そうで、街全体の勢いを感じました。また、JR秋葉原駅構内にある全国各地の牛乳を集めたお店を訪れ、久々に瓶の牛乳を一気に飲み干しました。美味しかったです!

今回は、これまでも何回かブログでもお話したことがありますが、プレコンセプションケアについてお話したいと思います。プレコンセプションケアとは2006年にアメリカ疾病予防センター(CDC)により最初に提唱され、2012年にはWHO(世界保健機構)も“Preconception care: Maximizing the gains for maternal and child health – Policy brief(直訳すると、“母子の健康のための利益を最大化する)”を提言し、国際的な取り組みが推奨されています。

WHOのサイトより引用

WHOは“妊娠前の女性とカップルに、医学的、行動学的、社会的な保健介入を行うこと”と定義しています。

すなわち、プレコンセプションケアとは、未来のママ・パパとなる人たちが、これからの妊娠に向け、未来の赤ちゃんのために、自分の生活や健康に向き合う取り組みです。

具体的な取り組みとは何を指すのでしょうか。

  1. 健康診断とカウンセリング

今の自身の健康状態をチェックし、必要なアドバイスを受けることが大事です。

2.生活習慣の改善

体重:以前ブログでもお伝えしていますが、適正なBMI(Body Mass Index)を目指しましょう。

食事:1日3回バランスの良い食事を心掛けましょう。適切なサプリメント摂取も有効です。葉酸については、胎児の二分脊椎症の予防目的としてよく知られていますが、妊娠前から葉酸摂取することはとても大切です。当院のHPにも当院の助産師が作成した動画を掲載しておりますのでぜひ参考にしてください。

運動:1週間当たり150分の運動をしましょう。毎日少しずつでも構いませんので、身体を動かす習慣をつけましょう。毎日のちょっとした散歩や筋トレ、YouTubeを利用したお家ヨガなど。私もよくYouTubeでいろいろと試しております。

睡眠:睡眠時間は6~8時間が理想的と言われています。良い睡眠は翌日の活力となりますね。

ストレス:ストレスをため込まないようにしましょう。ストレス発散の方法は個々さまざまですが、自分に合った方法を見つけましょうね。

飲酒:適正量が大事です。妊娠中のアルコールはダメですね。

禁煙:タバコはガンや心疾患などさまざまな病気を引き起こします。また不妊症のリスクも増加します。女性だけではなく男性にも影響を及ぼします。精子は喫煙によりDNAにダメージを受けることが分かっています。

3.感染症の予防

感染症にはさまざまあります。

風疹は妊娠中に感染すると胎児の先天性風疹症候群を起こすことがあります。事前に風疹抗体価を調べ、必要であれば妊娠前にワクチンを接種しましょう。

クラミジアは感染し腹腔内で広がると卵管閉塞を起こすことがあり、不妊の原因となります。

また最近増加しているという報道を耳にしたことがあるかと思いますが、妊娠中に梅毒にかかると、胎盤を通じて赤ちゃんに感染する先天梅毒となり、流産、死産や新生児死亡を引き起こすこともあります。

ヒトパピローマウィルス(HPV)は子宮頸がんの主原因です。また女性だけではなく男性も感染しますので、感染予防にはコンドームが有効です。また若いうちにHPVワクチンを接種することも大変大事です。

このような取り組みを行うことは、女性にとって、またパートナーにとっても、健やかな妊婦生活、育児生活を送るため、また未来の赤ちゃんの健やかな成長のために、とても重要な役割を果たします。

また、現代の女性の社会での活躍や地位の向上、また晩婚化による高齢出産の増加などの社会的な変化とともにプレコンセプションケアは進化し、さらにその需要を高めていると言えます。この取り組みがいろいろな方に周知され、より良いライフプランを選択できるようになってほしいですね。

当院でもプレチェック外来に力を入れており、いろいろな検査項目を提案し、全ての女性、パートナーの健康と明るい未来、次世代の健やかな子どもたちのために、お手伝いをしています。

女性、パートナーのライフプランを支える婦人科医として、さまざまな悩みに不安に答え続けていきたいと思います。

 院長 園田桃代