ERA(子宮内膜着床能)検査について

こんにちは培養室です。

以前ブログでお伝えしているので重複する内容もあるかと思いますが、今回はERA検査について当院のデータも含めてご紹介します。

ERA検査とは?
正確な着床の窓を調べる検査のことです。

子宮内膜が受精卵(胚)を受け入れる期間は決まっており、その期間を着床の窓といいます。着床の窓は排卵日から5日前後、体外受精におけるホルモン補充周期ではホルモン剤投与から5日前後とされていますが、子宮内膜の状態によっては、早い遅いなどの個人差があることも分かっています。

そのため、着床の窓をズレて胚を移植してしまうと着床に至らず反復着床不全(良好な受精卵(胚)を2回移植しても妊娠不成立)や初期の流産を繰り返す原因の一つとなってしまいます。

こちらは2020年から2023年の間に当院でERA検査を実施した方の検査結果の内訳になります。

検査の結果、Receptiveの場合は着床の窓にズレがなく胚移植に適した期間となります。そのため、これまでと同じ条件での胚移植が推奨されます。

一方でReceptive以外の以下のような結果であった場合、推奨される時期に胚移植を行う必要があります。
・Late receptive:着床の窓が閉じた後のため12時間早く胚移植推奨
・Pre-receptive:着床の窓が開いていないため24時間遅らせて胚移植推奨
・Post-receptive:着床の窓が閉じた後のため24時間早く胚移植推奨

下のグラフはERA検査の結果、着床の窓がずれていることが分かり、推奨される時期に胚移植を行った結果になります。

Late receptiveの方は50%、 Pre-receptiveの方は71.4%も妊娠率の向上がみられました。※Post-receptiveの方は胚移植未実施となっています。

当院では反復着床不全の方にERA検査をご提案させて頂いていますが、反復着床不全の原因はさまざま(慢性子宮内膜炎や子宮収縮等)であるため必ずしも着床の窓のズレが原因とはかぎりません。
しかし今回の結果から、着床の窓がずれていた方はERA検査の推奨する時期に胚移植を行うことで妊娠率の向上がみられたので、ぜひ治療の選択肢の一つとしてご検討いただければと思います。