安心して採卵を受けてもらうために・・

採卵って痛いの?いつ麻酔するのなど、色々な質問をされます。ネットで「採卵」と調べると不安になるようなことがたくさん出てきて、どんどん不安になりますよね。今日はその不安を少しでも改善できたらと思い、採卵当日のお話をしていこうと思います。

採卵とは・・
卵巣内の卵胞に膣壁から採卵針を刺して卵胞液ごと卵子を回収する方法です。回収された卵胞液は採卵針に接続されたチューブを通してスピッツに回収されます。
当院の使用している採卵針は20ゲージで、採血の時より少し太い針を使用しています。
当院の採卵室です
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医師は採卵中どんなことをしているの?
当院の採卵は医師が1人で行っています。患者様が入室すると麻酔を使用する場合は静脈麻酔の管理をします。感染予防のために膣内洗浄・消毒を行い、経膣超音波で卵胞の場所、穿刺が安全にできる位置の確認や患者様の状態を常に観察しながら穿刺を行います。採卵終了後は膣壁や腹腔内の出血の有無と膣内消毒を行い、念のため止血用のガーゼを膣内に挿入して終了ですが、採卵室をでるまで患者様の状態を確認しています。

培養士は採卵中どんなことをしているの?
培養室は採卵室に隣接しています。
卵胞液で満たされたスピッツを培養士が培養室まで運び、スピッツからシャーレ(ガラス製の平皿)に移し替えて顕微鏡下で卵子の数を確認しています。これを検卵と言います。
採卵で回収できた卵子はピペット(チューブ)を使って吸い取り、新しいシャーレへ移しています。回収できた卵子には血液が付着しているので、きれいな培養液で洗います。血液が付着していると受精率が下がるため、2,3回きれいな培養液で洗っています。その後、新しいシャーレに移し替えて卵子を培養させるために培養器へいれます。採卵で回収できた卵子の個数と当日の精液所見を患者様へ説明し、受精方法を決めています。採卵当日のお昼すぎから患者様に説明した受精方法で受精させていきます。
誤認防止のため、シャーレには名前が記載されており、新しいシャーレに移し替える作業のときは毎回スタッフ2名で名前の確認を行っています。採卵が1件終われば、卵子を培養器に入れるところまですべて行い、患者様用に使っていた道具類は全て破棄してから次の採卵へ入っています。

看護師は採卵中どんなことをしているの?
採卵室に入ったらまず本人確認のために名前と生年月日を言ってもらいます。その後採卵室の内診台に座り心電図モニターや血圧測定器等をつけて患者様の状態を常に観察しています。酸素飽和度が下がってきた場合は下顎挙上を行い、酸素投与をすることもあります。また患者様の状態に合わせて医師が指示した薬剤を点滴することもあります。
採卵中に患者様が痛みで動いてしまう場合は、安全に採卵するために、固定のために押さえたりすることがあります。看護師が隣で手を握らせてもらいますので安心してリラックスしてくださいね。
採卵後はベッドで休んでいただきます。30分ごとに全身状態の観察のために訪室します。

麻酔について・・
当院は静脈麻酔と、無麻酔の採卵を行っています。麻酔の有り無しに関わらず採卵前には点滴を挿入してから採卵室へ入室します。
麻酔を入れるタイミングは採卵室の内診台へ座り血圧を測り、全身状態に問題がなければ点滴部分から麻酔を入れます。当院ではホリゾン(鎮静剤)とソセゴン(鎮痛剤)を使用します。薬剤の影響で採卵後に気分が悪くなってしまう方や採卵による腹痛がある方もおられますので、採卵当日はお迎えがあると安心かもしれません。

また採卵中の痛みや麻酔使用時の意識の有無については個人差があります。当院で採卵を行った方に痛みについてアンケートをとり、その結果をブログに記載してますのでぜひ参考にして下さいね。


~当院の採卵当日の流れ~
・9:30-10:00の間に来院
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・採卵前に排卵していないか採卵できる状態か確認の経膣超音波検査を行う
(治療のスケジュールによっては経膣超音波検査をしない方もいます)
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・リカバリー室へご案内、術衣に着替えてもらい点滴を行う
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・採卵室にて採卵を行う
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・リカバリー室にて2時間程度休む
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・採卵後の診察
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・帰宅
採卵自体は20分前後で終わりますが、その後ベッドで休んでもらいますので帰宅できるのはお昼をすぎます。

たくさんのスタッフで患者様の採卵をサポートしていますので、安心して採卵を受けて下さいね。