みなさん、こんにちは!
院長の園田桃代です。
12月に入り、昼間は暖かい日もありますが、やはり朝夕、日が暮れると温度も一気に下がり、
今日はダウンを着てきて良かったと思うようになってきました。
クリスマスも近づき、街もキラキラと華やかになってきて、なんだかワクワクしますよね。
先月、金沢で開催された日本生殖医学会にスタッフと共に参加してきました。
当院からは以下の口頭演題3題、ポスター演題1題の発表をしてきました。
ART保険適用後のOHSS対策に対する評価~GnRH antagonistの有用性~
PGTA施行胚移植にて妊娠出産に至らなかった症例の漢方学的医療の有効性について
不妊治療保険適用開始についての患者の思い ~アンケート調査より~
どの演題も実際の医療現場で有意義な内容になっていますので、参考にしてくださいね。
学会参加では勉強の場としてはもちろんですが、
合間のちょっとした観光や地産地消の食事も楽しみの一つです。
今回は金沢城で開催されていたプロジェクションマッピングのイベントに参加し、
スタッフみんなで童心に帰り、楽しい時間を過ごしてきました。
このような時間は仕事への活力となります。
今回は、凍結融解胚移植についてお話したいと思います。
採卵にて得られたご夫婦の大事な受精卵を適した時期を判断し丁寧に胚移植していくこと、どのような方法で治療を進めていくのか、とても慎重な判断を要します。
凍結融解胚移植をしていく上で、着床環境を整えること、子宮内膜の良い状態を見極めていくための方法を2つご紹介します。
ホルモン補充周期凍結融解胚移植
その名の通り、ホルモン剤を使用することで子宮内膜を作っていく方法です。
使用するエストロゲン剤としては、エストラーナやルエストロジェル、ジュリナ等になります。
子宮内膜が厚くなり、血液中のホルモン値が問題なければ、黄体ホルモン剤を追加し、胚移植日を決定していきます。
排卵周期凍結融解胚移植
こちらは、ご自分の排卵周期を利用し、体内のエストロゲン値が上がることで自然に子宮内膜が厚くなり、排卵後の黄体(卵胞が排卵すると黄体になります)からのホルモン分泌により着床準備ができた時期に胚移植する方法です。
いずれの方法もそれぞれに一長一短があります。
下の表にそれぞれのメリット、デメリットをまとめております。
ホルモン補充周期 | |
メリット | デメリット |
〇月経開始日におおまかな胚移植スケジュールが分かるため、予定を立てやすい(お忙しい方は来院日の調整がつきやすい) 〇月経不順の人でもコントロールしやすい | △使用薬剤が増えるため、経済的負担が増える △使用薬剤によっては、かぶれたり、出血することがある △産科的合併症が増えることが近年報告されている △分娩時の出血が多い △癒着胎盤のリスクが増える △妊娠高血圧症候群が増える △出生児の体重がやや増加するという報告がある |
排卵周期凍結融解胚移植 | |
メリット | デメリット |
〇使用薬剤が少ないため、経済的負担が少なくなる 〇使用薬剤が少ないので煩わしさが軽減できる | △排卵日が予測できない場合や不明瞭であった場合は中止となる △排卵日を正確に決めるため、排卵前後の複数回の通院が必要となる △月経不順の人には適さない △40歳以上の卵巣機能が低下した人には適さない |
いずれの方法が適しているのか、患者さん個々に判断し選択していきます。
疑問点のある方は診察の際に聞いてくださいね。
院長 園田桃代