みなさん、こんにちは!
院長の園田桃代です。
すっかり涼しくなり、
そろそろ紅葉の季節も近づいてきましたね。
みなさんは、この秋、
どのような楽しい計画を立てていますか?
行ったことのない場所やお店、経験したことのないアクティビティ、初めてという体験は子供の頃のようなワクワク、ドキドキという感覚を思い出させますよね。
また、逆に久しぶりに故郷に帰ると、ホッとする癒しであったり、この場所こんなに変わったんだ~という少し寂しい気持ちになったりと、それはそれで良いものだなと感じたりもします。
実りの秋、みなさんの心も豊かに実が膨らむよう、毎日を笑って過ごしましょうね。
ちなみに、先日、私は奈良公園の鹿に癒しをもらってきました。
今回は、みなさんの診察でも必要な検査として切り離せないホルモンについてお話したいと思います。
女性の卵巣や子宮はホルモンの動きに協調し変化します。
そのホルモンの経路には3段階あり、
①視床下部 ②下垂体 ③卵巣・子宮と、
この3つの組織の中で、互いに調整しあって排卵、月経はコントロールされています。
視床下部ホルモン:GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)
視床下部で生成され、下垂体門脈を通して下垂体に到達します。
下垂体ホルモン:LH(黄体化ホルモン)、FSH(卵胞刺激ホルモン)
GnRHが下垂体前葉に作用し、LH、FSHが分泌されます。
LH、FSHは卵巣に作用し卵胞発育や排卵を起こしていきます。
主にFSH(LHも作用)が卵巣に作用し、卵胞の成熟を起こします。
卵胞が成熟するとLHが分泌され(LHサージ)排卵が起こります
エストロゲンとプロゲステロン
卵胞発育が進むにつれ、卵巣からはエストロゲンが分泌されます。
排卵後、卵胞は黄体に変化し、黄体からプロゲステロンが分泌されます。
エストロゲンは子宮内膜に作用し、子宮内膜が着床に向け厚みを増していきます。
排卵後は黄体から分泌されたプロゲステロンが子宮内膜を着床状態に変えていきます。
不妊治療、特に生殖補助医療(ART)においては、
このホルモン値の検査は大変重要な意味があります。
ART採卵周期において
ホルモン値を測るタイミングとしては
①月経1-3日目:LH、FSH、エストロゲン
この時期のFSHの理想的な値は10mIU/ml以下が望ましいのですが、
元々の卵巣機能が悪い方は10を超えて高くなります。
また、月経中のエストロゲンは通常低い値ですが、
高い場合は、採卵日が月経周期早い時期になる可能性があるため、次の診察日を早めに設定します。
卵巣刺激の注射量や投薬の参考にもしていきます。
②卵巣刺激開始後の採卵決定までの時期:LH、エストロゲン、プロゲステロン
卵胞発育が進むと、エストロゲンが上がってきますので、エコーの卵胞所見とエストロゲン値が見合ったものであるかを見ていきます。
充分なエストロゲン値と判断した場合は、採卵日が決定されます。
LHは排卵が近づくと上がってきますので、採卵前にLHは上がっていないことが重要です。
また、この時期にプロゲステロンが上がると、
早期黄体化(卵胞が十分に発育して成熟する前にプロゲステロンの分泌が始まる現象)の可能性があり、この場合、新鮮胚移植はできなくなります。
ホルモン補充周期凍結融解胚移植の場合
ホルモン値を測るタイミングは
①月経1-3日目:エストロゲン
内膜作成に向け投薬を開始できるかを判断します。
値が高い場合は、次の受診のタイミングを早くしたり、状態によっては治療周期をずらすということも考えます。
②胚移植決定までの時期:エストロゲン、プロゲステロン
胚移植に向け、充分にエストロゲン値が上がっていることを確認します。
100pg/ml以上であれば十分と判断します。
低い場合は、数日後に再度上がってきているかの受診が必要になります。
プロゲステロンは胚移植前に上がっていないことを確認します。
1.5ng/ml以下である必要があります。高い場合は、治療周期をずらしていきます。
体外受精セミナーでは、
このような治療周期における受診のタイミングについても話しておりますので、参考にしてください。
このように不妊治療においてホルモンを測るということ、ホルモンを読むということはとても重要な意味を持っています。
また薬剤によっては、ホルモン値を測ることにより、その効果を判定できるものもありますが、全く判定できないものもあります。
例えば、エストロゲン剤である、ル・エストロジェルやエストラーナという薬剤は天然型のエストロゲン剤ですので、血液中のエストロゲン値を上げてきます。
一方、プロゲステロン剤である、ルトラールやデュファストンは合成型ホルモン剤で、血液中のプロゲステロン値は上がってきませんので、ホルモン値による効果判定はできないということになります。
また、プロゲステロン膣剤は天然型ホルモン剤ですが、膣からの吸収になり、血液中と子宮内膜局所でのプロゲステロン値は異なるため、血中ホルモン値が効果判定に100%有効というわけにはなかなかいきません。
卵巣や子宮はホルモンの影響を大きく受けており、不妊治療においては、必要不可欠な検査です。
ホルモンはその方の卵巣機能を反映しますし、周期による変化もあります。
しかし、ホルモン値だけが、治療に影響する因子ではないので、現在の自分の身体の状態をしっかりと受け止め、前向きに治療を進めていきましょうね。
院長 園田桃代