麻疹について

今回は麻疹(はしか)のお話です。

2023年4月下旬より茨城県、東京都にて麻疹の発生報告が相次いでいます。
大阪府でも2023年は累計で3件の発生報告がありました。ニュースでも取り上げられていたのでご存じの方も多いと思います。(※豊中市HP
実は、日本は2015年WHOから麻疹は排除状態にあると認定をされてます。今回のように感染者が出るのは、海外からウイルスが持ち込まれたり、そこからの二次感染が広がるからです。
新型コロナ流行のための水際対策が解除され、今年の大型連休は海外渡航者が増加していることからも、今後国内での感染拡大が考えられます。

麻疹とはどのような病気なのでしょうか?

感染すると約10日後に発熱や咳・鼻水といった風邪のような症状が現れます。2-3日熱が続いた後、38-39℃以上の高熱と発疹が出現します。肺炎・中耳炎を合併しやすく、患者1000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われています。死亡する割合も、先進国であっても1000人に1人と言われています。
つまり、麻疹は健康な人が命を落としたり、重度の後遺症を起こすこともまれではない怖い病気と言えます。

妊娠中に麻疹に感染すると?

妊婦さんが麻疹に感染すると、重症化しやすく肺炎・脳炎などを起こすことが懸念され、高い確率(30-40%とも言われています)で流早産を起こしてしまいます。また、胎児奇形をおこすことはないとされていますが、胎児の発育異常・羊水量の異常・お産の時に赤ちゃんに感染してしまう新生児麻疹などをきたす恐れがあるとされています。

麻疹の感染を防ぐには?

このように恐ろしい病気である麻疹ですが、空気感染もするため、通常のマスクや手洗いでは予防できません。ワクチンにより免疫力を獲得しておくことが唯一の予防方法です。
麻疹のワクチンを子どもの頃に受けたという方もいると思います。
2000年4月2日以降(今年23歳になる学年の方)は定期接種として2回の麻疹ワクチン(麻疹風疹混合ワクチンを含む)を受ける機会がありましたが、それ以前に生まれた方は、定期接種が1回もしくはなかった世代です。妊活中の女性の多くがこの世代に当てはまると思います。(※厚生労働省HP
1回のワクチンにより麻疹の免疫ができる割合は95%であること、免疫がついたにも関わらず時間の経過とともに免疫が低下してしまうこともあるため、妊活中、特にこの世代の方は麻疹の免疫の有無の確認が必要といえます。

妊活中に麻疹の予防のためするべきことは?

しかし、麻疹のワクチンであるMRワクチン(麻疹風疹混合ワクチン)は生ワクチンのため、妊娠中は受けることが出来ません。妊活中の女性であっても、接種後2か月の避妊が必要となります。
妊活中の2か月の避妊期間は長く感じられるかもしれませんが、せっかく授かった赤ちゃんを麻疹の感染により失うことやご自身が重篤となってしまう可能性があることを考えると、妊娠前にしっかり免疫の有無を確認し、必要であればワクチンを打っておくことが望ましいですね。