受精方法に迷ったら・・・

こんにちは。培養室です。
去年に引き続き、今年も桜の開花は早めでしたね。
これから梅雨に入るまでアウトドアには最適の季節ですので、感染対策をしっかりしながら楽しんでいただけたらと思います。

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当院で採卵を受けられた患者さまには、採卵後に培養士から受精方法やその後の培養についてご相談させていただいていますが、受精方法については迷われる方がたくさんいらっしゃいます。

受精方法には一般体外受精と顕微授精の2種類があり、方法そのものについてはインフォームドコンセントでもお話させていただいているのですが、いざ採卵で自身の卵を前にすると個数や治療予定などからどっちにしよう、と改めて考えてしまわれるようです。

どちらの方法にもそれぞれ、メリットとデメリットがあります。

<一般体外受精>

容器の中に採取した卵を入れ、それに調整した精子をふりかけて一定時間培養することで受精を起こさせます。
受精自体は精子と卵に任せますので、顕微授精よりは自然に近い形になります。

ただ、この方法では採取した卵をそのままの状態で受精に回しますので、卵の成熟状態というのが判定しにくくなります。そのため、翌日受精の状態を確認してみたらほとんど未熟卵だった、ということが時々あります。

また、何らかの原因で精子が卵に入ることができない「受精障害」というものがこの方法で初めて発覚することがあり、その場合は受精卵がゼロもしくは極めて少ないという結果となります。
これを防ぐため、初回採卵の方で卵が複数個取れた方については、精子の状態が良くても取れた卵の半分は顕微授精とする「スプリット法」という方法をとらせていただきます。

<顕微授精>

精子を一匹選び取り、針で卵の中に挿入して受精させる方法です。
この方法では受精前に成熟の確認をして成熟した卵にのみ顕微授精を実施しますので、取れた卵の状態が早めにわかります。
精子を直接卵に挿入するので、受精障害も回避しやすくなります。

ただ顕微授精の場合は卵に針を刺しているので、物理的なダメージは一般体外受精よりも大きくなります。
また、精子の侵入=受精ではないため、精子を挿入してもその後の受精過程がうまくいかず受精が成立しないということもあります。
稀ではありますが、複数の卵に顕微授精をおこなったにも関わらず受精卵が一つも得られない「完全受精障害」というものも存在します。

どちらの方法で受精させたとしてもその後の発生に差はなく、妊娠率や出産率も変わらないというデータが出ています。患者様とお話させていただく機会は何度もありますので、納得のいく方法で治療を進めていただきたいなと思います。