卵子の種類

こんにちは。

今回培養部からは、採卵でとれる卵子の種類についてお話ししたいと思います。

卵子は、未成熟卵であるGV期やMⅠ期という卵子から

成熟卵であるMⅡ期の卵子へと成長が進んでいきます。

そのうち受精能力をもつ卵子は成熟卵のみで、未成熟卵は受精能力をもちません。

採卵では卵巣刺激で卵胞を排卵前の状態まで育てて、成熟卵をとりだしていきます。

成熟卵(MⅡ期)

受精能力をもつ卵子。

特徴としては、極体という小さな細胞が確認できます。


しかし、採卵でとれるのは成熟卵ばかりではなく、未成熟卵や変性卵という卵子もあります。

未成熟卵(GV期)

卵核胞とよばれる核が卵子内に確認できます。

かなり未熟な卵子のため、採卵当日に成熟することはほとんどありません。


未成熟卵(MⅠ期)

卵核胞が消えた状態。極体も確認できません。

採卵当日に成熟する可能性はあります。


変性卵

細胞が黒くなったり収縮してしまっている状態。



以上のような卵子も同時にとれてしまうため、

採卵でいくつかとれていても、受精する卵子は限られてしまうということになります。

卵巣刺激で卵胞を育てていく際に、
全ての卵胞が同じ大きさで成長するわけではなく、
成長が遅い卵胞も含まれるので、そこから未成熟卵がとれてしまいます。

では、成熟卵だけ見分けてとりだすことはできないか?
と、思われるかもしれません。

出来るのであれば我々もそうしたいのですが、、

とりだした際の卵子は顆粒膜細胞という膜に覆われています。

明らかに変性しているものは省けますが、

確実に成熟卵かそうでないかを見分けるのは難しいのです。



また、採卵当日に成熟卵かどうか確認できるのは、受精方法によって違います。

一般体外受精(媒精法)では、
卵子のまわりについた顆粒膜細胞が受精するために必要となってくるので、
顆粒膜細胞がついた状態で精子をふりかけて受精させます。

そのため、一般体外受精では採卵当日に成熟卵であったかは、翌日の受精確認の時までわかりません。

顕微授精では、
顆粒膜細胞は必要でないため、まず顆粒膜細胞をはがして成熟卵か確認し、
成熟卵のみに顕微授精を実施します。

そのため、採卵当日に成熟卵か確認は可能です。


もちろん成熟卵がとれたからといって、必ず受精するというわけではなく、

最終的には、目には見えない卵子の質、つまり卵子の染色体が正常であるかということが重要となってきます。

大事なのは数より質!ですね。



少し難しいお話しにはなりましたが、

いつでもご質問承っておりますので、ぜひ培養士外来などご利用してみてください。