~戦う精子~

皆さん、世の中は見えない敵(コロナウィルス)との戦いで、先の見えない閉塞感が漂っていいますが、そんな空気感に負けない強い身体と心をキープして、明るい毎日を過ごしましょうね。
手洗い、健康的な生活を心がけましょう!!

ところで!

不妊治療でのタイミング指導の結果、体内で起こっていることを皆さんご存知でしょうか?
精子は、卵子に出会うために、とても過酷な戦いをくぐり抜けてきています。
今回は、卵子に巡り合うために精子が乗り越えなければならない試練について、お話したいと思います。

卵子への長い旅路

  1. 膣内に射精される精子の数は
    →数千万~1億
    膣内は酸性に保たれており、これは精子にとっては大変つらい環境なのです。
  2. そのうち、子宮内にたどり着くことのできる精子は
    → 10分の1~100分の1
    子宮内で精子は敵である白血球と戦いながら、子宮内7cm(精子の全長は0.05mm)を泳ぎ続けなければなりません。
  3. 卵管の入り口までたどり着くことのできる精子は
    →1000個以下
  4. 卵管の先、卵管膨大部で卵子に出会える精子は
    →数十~数百個
    卵管の全長は約10cmですので、0.05mmの精子にとっては長い長い距離なのです。
  5. いよいよ卵子と受精できる精子は
    →1個

このように精子は膣、子宮、卵管内を泳ぎ、生き残った精鋭部隊の中のトップが卵子と受精することができるのです。

卵子と精子の出会い

時間との戦い

精子の戦いは、長く厳しい旅だけではなく、時間との勝負でもあるのです。
精子の寿命は2~7日です。
一方、卵子の寿命は12~24時間しかありません。
排卵した卵子に確実に出会うためには、精子は卵管内で待ち受けている必要があるのです。
子宮、卵管内を泳ぎ続け、卵管で卵子が排卵されるのを待ち、精子のもつ生命力と絶妙なタイミングをもって、やっと受精が成立するのです。

精子の寿命

不妊治療で、タイミング指導を受けている方、たくさんいらっしゃると思います。
この精子の過酷な戦いを妊娠という良い結果に結びつけるためには、良いタイミングで夫婦生活をもつことがいかに大事かお分かりになるかと思います。
精子の寿命の方が長いことから考えると、排卵前からの複数回の夫婦生活を持てることが理想的です 。

このように精子は過酷な戦いを勝ち抜くために涙ぐましい旅を強いられる一方、卵子はある意味、女王様のように自分のタイミングで卵巣から飛び出し精子を受け入れるのです。
この戦う精子の姿に思いを馳せ、奥様はぜひとも優しく温かく旦那様を迎えてあげてくださいね。

院長 園田桃代